きっかけ
昨年 2023年の秋ごろ、社長と 1on1 しているときに、私に対して期待されていること、チームをうまく動かしていくためにやってほしいことを話されました。
「エンジニアリングマネージャーとして動いてもらいたいんだよね」
この言葉を聞いて、「ついに来(てしまっ)たか」 と思いました。その時の私の状況は、後ほど自己紹介でも軽く触れますが、まだ自分自身が満足に動けていない状況でしたし、進みたい道ではなかったからです。
でも、いまチームを良い方向に導くにはそれしかないと内心思っていたのも事実です。私はエンジニアリングマネージャーという肩書きは欲しいわけではないけれど、自己とチームの成長のために肩書きを気にせずやってきたことを書いていきます。 この記事がある日突然「エンジニアリングマネージャー」になるように言われた方、もしくはなろうと考えている方の参考になれば幸いです。
私について軽く自己紹介
私は 2022年にソフトウェアエンジニアに社内転職しました。2023年秋の時点ではちょうど経験1年半といった感じです。(ややこしいですが、記事を書いている2024年の今は 2年半ほど経験しています) 社内転職する前は、カスタマーサクセスとして今の会社に入社し、リーダー、マネジメントを経験してから本当にやりたい事ってやっぱエンジニアリングだよねと思い、社内転職しました。
社内転職に関する話は、こちらの Zenn にまとめてありますので、よかったらご覧ください。
実務未経験でエンジニアにジョブチェンした地獄の半年を振り返る
エンジニアリングマネージャーってなんだ?
「エンジニアリングマネージャー」とは、エンジニアリング組織においてメンバーや組織体制そのものをマネジメントする役割の人のことです。一般的には以下のような特徴を持っています。
- 高い技術力を持ち、メンバーの技術的なサポートをする
- 他部門、たとえばBiz側とのコミュニケーションを取り、エンジニアリングチームの意見を伝える
- 組織の方向性や体制を考え、実行する
テックリードとの違いは、テックリードはプロジェクトやチームの中で技術的なリーダーシップを取る人であるのに対し、エンジニアリングマネージャーは組織全体を見渡し、メンバーの成長や組織の方向性を考える人です。
エンジニアリングマネージャーに向いている人
ここで、エンジニアリングマネージャーに向いている人について考えてみます。
私が考えるエンジニアリングマネージャーに向いている人というのは、以下のような特徴を持っている人です。
- 試行錯誤が好きな人
- メンバーの成長を楽しめる人
試行錯誤が好きな人
「EM.FM」 というラジオで語られていたエピソードで印象的な事があります。
「エンジニアリングって ソフトウェアエンジニアリングのことだけじゃない よ」
「物を作るってエンジニアだけがやることじゃないよね。いろんな組織がそれぞれやっていることだよね」
「そんな 組織間のボトルネックを解消する のって、 『エンジニアリング』 だよね」
「そんな 『エンジニアリング』をマネジメントしていく のが 『エンジニアリングマネージャー』 だよね」
ボトルネックの解消ってやったことがある人はわかると思うんですが、どこが原因か突き止めて対策してはアテが外れたり、うまくいったり、逆に別のボトルネックを生んだりと、試行錯誤が必要です。 そういった試行錯誤が好きな人にはエンジニアリングマネージャーは向いていると思います。
「EM.FM」のエピソードはこちらです。
メンバーの成長を楽しめる人
メンバーが成長せずに、今のままプロダクト開発をしていたらどうなるでしょうか?すべての組織が大谷翔平クラスのゴールデンメンバーでもない限り、誰かしら欠点や、成長できる要素があるはずです。つまり、ボトルネックですね。 上でも話したように、ボトルネックの解消が好きで、それに向けて試行錯誤が楽しめる人は、メンバーの成長を楽しめる人だと思います。
エンジニアリングマネージャーに向いていない人
逆に、エンジニアリングマネージャーに向いていない人について考えてみます。向いている人の逆なのはもちろんですが、それ以外に何かあるかもしれません。
それはズバリ、自分でなんでもやりたい人です。エンジニアリングマネージャーは、メンバーの成長を促すために、自分がやりたいことを我慢することが多いです。自分がやりたいことを我慢することができない人は、エンジニアリングマネージャーに向いていないかもしれません。
私が「ついに来たか」と思ったのは、自分がやりたいことを我慢することができるかどうかが一番の不安だったからです。我慢どころか、むしろ自分自身が成長していかないと話にならないでしょ!という時期だったからというのもあります。
向いてない人に当てはまるかも?と思ってしまった人でも大丈夫です。「今はまだそうかもしれないだけ」です。時期がくれば、自分がやりたいことよりもメンバーの成長を優先することができるようになるかもしれません。
私が実践していること
1年間、私がエンジニアリングマネージャーとしての仮面をつけてやってきたことを書いていきます。
メンバーと 1on1
「エンジニアリングマネージャーのしごと」でも語られていたのですぐに実践したのは、まず 1on1 の予定を入れることでした。
1on1はかなり奥が深くて、正直まだまだ勉強中ですが、意識している事は以下の通りです。
- 会話の中心は相手
- 会話の中でメンバーが自分の気持ちを言えるようにする
- 雑談をする
特に、最後の雑談をする、は個人的には一番大事でした。エンジニアリングマネージャーという肩書きを持って仕事をしていたわけではないのですが、やはり1on1を「する側」「される側」で意識してしまうだろうというのがあり、そこから上下関係ができてしまうからです。
上下関係ではなく、あくまで役割として1on1をするために、雑談で距離を縮めることが大事だと感じました。
メンバーが活躍できる場を作る
メンバーがジュニアソフトウェアエンジニアの場合、自分が活躍できないと感じる事が多いようです。事実、私もそうでしたし、その時期は本当に心が折れそうでした。なので、メンバーが活躍できるようなタスクやプロジェクト、環境を作ることが大事だと感じました。
「こうしたら」「こうなる」の試行錯誤を繰り返す
実は結構がむしゃらにやっていた時期が多いので、どんな試作を打ったか思い出せないこともありますが、一つ言えるのは試行錯誤しまくったということです。 直近の話でいうと、私はリモートワーク賛成派でしたが より良いコミュニケーションの場を作るために、一時的か恒久的かはわかりませんが、エンジニアリングチームはオフィス出社を義務付けることにした、というエピソードもあります。
これだけで一つ記事がかけてしまう程ですが、リモートワーク廃止にしたのは私自身のスキル不足から来ているという反省もあります。ですが、試行錯誤のひとつと捉えています。
まとめ
エンジニアリングマネージャー(EM)として1年間やってきて、いろいろと学んだことがあります。
- EMの仕事は本当に奥が深いです。技術のことだけじゃなく、人や組織のことも考えないといけません。
- 1on1はかなり大事です。ただ、まだまだ勉強中という感じです。
- メンバーが活躍できる場を作るのは、特にジュニアエンジニアにとって重要だと実感しました。
正直、まだまだ試行錯誤の連続です。自分のスキル不足も痛感していますが、それも含めて「エンジニアリング」だと捉えています。 この記事が、突然「EMになれ」と言われた方や、EMを目指している方の参考になれば幸いです。
みなさんも、ぜひ自分なりのEMスタイルを見つけていってください。
/以上
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